「ブラックスワン 不確実性とリスクの本質」12 夢の認識主義社会

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  • Опубликовано: 9 янв 2025
  • 「ブラックスワン」の第12章「夢の認識主義社会」という内容についてですが、これは認識主義者によって統治される理想の社会を描いています。著者タレブの理想とされるこの社会では、認識主義者が無知を認めた上で社会を治めるという考え方が強調されています。
    認識主義者の特徴として、「何が間違っているか」を確信する一方で、「自分が正しい」とは確信しない点が挙げられます。彼らは反証は可能でも、立証は不可能であると考えています。これは否定形の知識や「帰無仮説」と呼ばれる概念に通じる部分です。つまり、「何がうまくいかないか」は理解できても、「何がうまくいくか」は証明できないということです。この点は「三体問題」とも類似しています。
    一方、認識主義ではない人々は、過去をそのまま未来に延長する「線形回帰」に依存する傾向があります。しかし、過去と未来は対称ではなく、この非対称性が理解できないことが課題とされています。この点については、ベルクソンの「時間と自由」の議論ともつながります。
    また、自閉症の人々の特性として、専門分野で高い能力を発揮する一方で、他人の立場に立つことが苦手である点が挙げられます。彼らはしばしば社会的な文脈や他者の視点を理解する能力に困難を抱えるため、行動や思考がシステム的であると見なされることがあります。例えば、相手が自分と異なる情報を持っている可能性を前提にした対話が苦手です。自分の知識や視点を基準に考え、それを他者にも当てはめてしまう傾向が見られます。
    この結果、彼らは社会的な状況において「他者の立場に立つ」という行為が難しくなり、相手の意図や背景を誤解することがあるとされています。また、自閉症の人々の中には非常に高い知能指数を持つ人もいますが、その能力を活かすためには、他者との協力や調和が求められる環境が必要です。認識主義者が自らの無知を受け入れて柔軟に行動するのに対し、自閉症の人々は自身の知識や能力に基づいて物事を固定的に捉えることが多いと指摘されています。
    さらに、予測に過剰に依存する人々も認識主義者とは異なります。例えば、未来の出来事を過大評価し、繰り返し同じ失敗をすることがあります。ダニエル・カーネマンの「効用予測」やダン・ギルバートの「感情予測」の誤りに関連する現象です。効用予測の誤差はしばしば実際の価値を1.3倍程度に過大評価する傾向があるとされています。
    現代社会では、過去のリスクに対応してきた認識主義者的なアプローチが、未知のリスクに対応する上で限界を迎える可能性があります。核合意の解決策のように、複数の可能性が存在する状況では、原因を特定することが極めて難しいとされています。この点はカオス理論やバタフライ効果とも関連があります。
    最後に、後ろ向きの推論を重視する歴史家とは対照的に、認識主義でない人々は真のランダム性や確定的カオスの違いに執着しますが、それが実際の問題解決に役立つことはほとんどありません。このような背景から、タレブの著作には歴史のエピソードが多く登場するのだと考えられます。
    第13章では、「バーベル戦略」や脆弱性についての議論が展開される予定です。

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