Mahler : Symphony No.8 in E flat major "Symphony of a Thousand" / Tennstedt 1986

[@2001banekuro]

テンシュテットには晩年の映像記録もあるが、それと較べると微温的だ。
癌発症からカムバック直後に録音されたものだが、少々拍子抜けした憶えがある。
セッション録音ということもあるだろうが、もともとこの曲イメージと違って室内楽的な書法の部分が多い。
こういうタイプの作品だと、突然上品な演奏をしてしまうことがテンシュテットにはある。
その意味ではマーラーに精神病質を求めない聴き手には受け入れ易いかもしれない。
ただこの音源の問題は、セッション録音なのに解像度が低いこと。
この時期のEMI録音は出来不出来が激しくて、折角のデジタル編集のメリットを生かせていない代物が少なくなかった。
音が重なり合った部分の交通整理が得意で、オケを壮大に鳴らせる彼の長所を捉え損なっているように思えてならない。
もう一度編集し直す、せめてリマスタすればかなり評価が変わるかもしれない。