20160517_i_『キリスト教教理入門』―第六部 聖霊―第30章 聖霊に関する近年の諸問胎―1.今日における聖霊と預言、2.聖霊と他の世界宗教、3.聖霊と他の「霊」

20160517_i_『キリスト教教理入門』―第六部 聖霊―第30章 聖霊に関する近年の諸問胎―1.今日における聖霊と預言、2.聖霊と他の世界宗教、3.聖霊と他の「霊」
【付記―講義概要】
　本講義では[『キリスト教教理入門』―第五部 キリストの人格とわざ―第30章 聖霊に関する近年の諸問胎―1.今日における聖霊と預言、2.聖霊と他の世界宗教、3.聖霊と他の「霊」]の箇所を学んでいる。
【追記】
　本章は、『キリスト教神学』『キリスト教教理入門』の第一版と第二版にはなかった章である。エリクソンは神学を定義して[①第一義的に聖書を基盤とし、②文化一般の文脈の中で、③今日的な表現を用いて、④生の諸問題に関連づけながら、⑤キリスト教信仰の諸教理についての首尾一貫した言明をするべく努める学である]と要約している。
　H.G.ペールマンは組織神学の四つの要素について述べ、[第三は、組織神学の『生産的ないし新理解的機能』である。伝統的関連以上に重要なのは、組織神学の状況的関連である。それは聖書的・教会的ケリュグマをただおうむ返しに語るのみでなく、むしろ新しく語られねばならない。伝統をただ単に要約するにとどまらず、新しく理解しなければならない。それは“かつてそうだった”と語るのでなく、むしろ“現在こうである”と語るのである。いわゆるコンテクスチュアルな神学の必要性である]と語っている。
　すなわち、福音主義神学は第一義的に聖書を基盤とするのであるが、そのメッセージは「今日ある状況」に橋を架けられねばならないのである。エリクソンの著書は、常にそのことを念頭に置いている。通常の組織神学の教科書は、伝統的理解の復誦で終わっている場合が多い。エリクソンは、そこにとどまるだけでなく、今日の状況のリサーチを怠らない。本章は、聖霊論領域における福音派諸教会の動向の分析と評価、そして指針の提示である。
　「本章の概要」には、[近年の、聖霊の活動に対する関心の復活は、いくつかの形式をとり、それぞれの形式が価値ある洞察をもたらしたが、同時に幾つかの 問題点をも内包している。ある人々は、聖霊の導きを通して、預言の賜物をもつどの信仰者も神からの言葉を語ると主張する。エイモス・ヨングは、聖霊がキリスト教を超えて他の宗教の中で活動している可能性があると仮定している。聖霊以外の霊も世界で活動していると主張する人々もいる。そのような中、「霊の戦い」運動は、さまざまな形において、悪しき霊が神に敵対し、神の民を傷つけることを意図していると主張している]と書いてあり、他の組織神学書では扱われていない事象が紹介されている。
　これは、エリクソン神学が、いわば空飛ぶ空中警戒機AWACSのように、キリスト教会の宣教と教会形成の現況をできるだけくまなくリサーチしていることを示している。AWACS[airborne early warning and control）とは、軍用機の一種。大型レーダーを搭載し、一定空域を監視し、敵性・友軍の航空機などの空中目標等を探知・追跡し、なおかつ友軍への航空管制や指揮・統制を行う機体である。早期にリサーチしなければ手遅れとなり、取返しのつかない被害を被ることもあるのである。ここにエリクソン神学の使命がある。
　本ビデオでは、エリクソンのテキストに従い、⑴預言、⑵諸宗教、⑶霊の戦い、の問題を扱っている。⑴預言の問題では、ウェイン・グルーデムとジャック・ディアの比較対照を学び、⑵諸宗教における「霊」においては、エイモス・ヨングの著作集の特徴を分析評価し、⑶霊の戦いに関しては、ピーター・ワグナーの著作に目配りしつつ、この問題のバランスのとれた指針を提示しているものとして、『誰もが知りたいローザ ンヌ宣教シリーズ No.61 霊の戦い―その聖書的・包括的理解に関するナイロビ声明』安黒務訳、正木牧人「補論」、関西ミッション・リサーチ・センター、2000年）]を紹介している。エリクソンは、キリスト教会においてさまざまな運動や教えが興亡を繰り返す中で、両極に走らず、穏健で中庸なスタンスを保ちつつ、福音主義の福音理解のセンターラインに沿って、宣教と教会形成に励むよう勧めている。エリクソンが資料源のひとつとして重用しているG.E.ラッドも「真理は中庸にあり」と語ったことは有名である。ICIの使命もここにある。
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【信徒のための『キリスト教教理入門』講義録パワーポイント集】
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