第1300回「今の呼吸に最大限の敬意を表す」2024/7/29【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師

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  • Опубликовано: 27 июл 2024
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    ■管長日記「今の呼吸に最大限の敬意を表す」
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    最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
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    先日、花園大学に行ってきました。今回は自分の講義でも大学の仕事でもなく、京都八幡市にある円福寺僧堂の師家政道徳門老師のご講義を聞く為でありました。
    自分の勉強の為であります。
    京都市内のおるお寺の掲示板に、こんな言葉がありました。
    「子どもの頃
    すべてが新鮮で
    まぶしかった
    大人になると
    色あせてしまう
    今日という日は
    人生で初めての日
    だというのに」
    という言葉です。
    拝読しながら、しみじみと、そうだな、今日という日ばかりでなく、一瞬一瞬新しい命を生きているのに、そのことに気がつかないのだなと思っていました。
    その日に拝聴した政道老師のお話もそのことに通じるものがありました。
    政道老師は、1973年のお生れですから、私よりも九つお若いのです。
    同志社大学を出られて、円福寺で修行し、円福寺の老師になられた方であります。
    大学では、「禅とこころ」という授業があって、いろんな方が講師を務める授業なのですが、老師もこの講座に登壇してくださっているのです。
    是非拝聴しなければと思いながらも、なかなか空いている日が少なくて、昨年は拝聴できなかったのでした。
    今回老師は「無門関」の講義をしてくださいました。
    老師は、毎回墨蹟を持ってこられてお話くださるようで、今回は慈雲尊者の「不昧」と書かれた、素晴らしい書を持ってきて見せてくださいました。
    朗々としたお声で、そのお声を聞くだけで、禅に触れる思いがします。
    「無門関」は南宋の禅僧無門慧開禅師が編纂された書物です。
    その序文には、「無門を法門と為す」という言葉があります。
    はじめにこの言葉を老師は紹介してくださいました。
    「無門を法門と為す」というのは、文字にならない教え、不立文字という禅の立場を表すものとして説かれることが多いのですが、老師はそれだけでは不十分だと仰せになって、「依り所なき世界を依り所とする」と解釈なされていました。
    誰しも人は依り所がほしいものです。
    人生は依り所さがしの旅のようなものだと言われていました。
    たしかにそのとおりです。
    ところがその依り所が実は頼りにならぬものだと気がつかされることが多いのです。
    依り所はなかなか見つからないのです。
    そこで老師は「依り所を探しもとめることをあきらめて、この依り所のない世界を依り所として立つ」のだと教えてくださいました。
    それから、五分のイス坐禅に入りましたが、呼吸について丁寧に教えてくださいました。
    この呼吸を見つめようとしても、この呼吸もまた思い通りにはならないものです。
    この思い通りにならない呼吸を依り所として坐るのだというのです。
    呼吸を見つめるといっても見つめることのできるのは、今の呼吸だけだと教えてくださいます。
    過去の呼吸はもう体験できません。
    未来の呼吸もまだであります。
    この今の呼吸に最大限の敬意を表して味わうのだというのです。
    なんという有り難いお示しかと感動しながらノートをとっていました。
    この言葉を聞いただけで、今日大学に来てよかったと思いました。
    一呼吸一呼吸、今している呼吸は一生に一度きりの呼吸だ、かけがえのないものとして味わうのです。
    ふだんは無自覚に行っているものを、本当にかけがえのないものと実感しながら一呼吸一呼吸を味わうのだと丁寧に教えてくれました。
    その呼吸を味わう為には、はじめ敢て意識的な呼吸をしましょうと、四七八呼吸を実践しました。
    老師の先導に従って、はじめ一二三四と四秒ほどで息を吸います。
    次に一二三四五六七と息を止めます。
    それから一二三四五六七八と息を吐き出すのです。
    なれない人には、少し長いと感じるかもしれません。
    そうした意識的な呼吸を繰り返したあとで、こんどは自然な呼吸をただしっかり心の目で見つめるというご指導でした。
    長い呼吸、短い呼吸、浅い呼吸、深い呼吸といろいろありますが、長い呼吸がきたら、長いまま受けいれます。
    短い呼吸が来たら短いまま受けいれます。
    一切はからいを入れないというのです。
    一切評価しないでありのままを受けいれるのです。
    そしてそのありのままを受けいれると智慧が出てくるというのです。
    智慧というのは仏教の醍醐味でこの智慧を学ぶために修行します。
    般若の智慧といいます。
    ふだん私たちが使っているのは、簡単な字を書く「知恵」で、これは人間が生きていくために必要な知恵です。
    自分にとって損か得か、善か悪かを区別し判断する知恵です。
    これは自分にとって心地よいかどうかが判断の基準になっています。
    この知恵によって人間は文明を発展させてきました。
    しかし、物質的に豊かにはなったけれども精神的に貧しくなったのだと老師は示してくださいました。
    呼吸を見つめるということから、深い智慧の話へと流れるように説いてゆかれました。
    私などは、毎回呼吸を静かに見つめて坐りましょうとだけ言っているので、大いに反省させられました。
    お釈迦様は人間の生老病死という、思うようにならない苦しみに真っ向から向き合ってすべてを捨てて出家なされました。
    それに対してお釈迦様のお父様の浄飯王は、この生老病死の苦しみをお釈迦様には見せないようにして育てられました。
    生老病死から目を背けるために、贅沢で安全で安楽に生きることができるようにさせたのでした。
    仏陀は生老病死を般若の智慧で見つめられる生き方をなされました。
    浄飯王は、簡単な字で書く方の知恵で生老病死の苦をごまかし、見てみぬふりをする生き方なのだと、このお二人を対象的に示してくださっていました。
    現代の暮らしは、この知恵をたくみにして生老病死の苦をみてみぬふりをしているのだというのです。
    それに対して般若の智慧を自分自身に見出してゆくのが禅の教えなのです。
    老師は、最も大切なことは、この智慧をお互いは本来みなすでにもっているのだと示してくださったのでした。
    そして今回持って来て下さった慈雲尊者の墨蹟「不昧」は、ごまかさないということだと説明されました。
    「不昧」というように、ごまかさずにありのままをみつめるのが智慧だというのであります。
    対象をごまかさずにありのままにみつめる修行をするのだと、仰せになって「無門関」の無字の工夫について説いてくださっていました。
    有り難い講義でありました。
    自分自身の拙い講義を大いに反省させられ、そして来て良かったと心から思うご講義でありました。
     
     
    横田南嶺
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