【統合失調症療養のコツ】「病識」とその対策【精神科医が9.5分でまとめ】

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  • Опубликовано: 7 фев 2025
  • 0:05 はじめに(統合失調症、病識とその対策)
    0:41 統合失調症と病識、欠いた時のリスク
    3:25 病識を欠く理由①病態失認
    5:16 病識を欠く理由②病気の否認
    6:41 最近の医療や偏見等の変化
    8:35 まとめ
    統合失調症では、薬物療法と心理社会的治療を続けることで近年は改善が見込まれるようになりましたが、その前提にあるのが「統合失調症を持っている」という「病識」で、ここが崩れると取組みの前提が崩れてしまうため、注意が必要です。一方統合失調症ではこの「病識」が欠ける場合が少なくなく、臨床において課題になります。
    精神科医が約9.5分の動画にまとめています。
    出演:春日雄一郎(精神科医、医療法人社団Heart Station理事長)
    こころ診療所吉祥寺駅前 kokoro-kichijo...
    府中こころ診療所 fuchu-kokoro.com
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    ↓↓内容の詳細は下記になります。
    <はじめに:統合失調症での「病識」とその対策>
    統合失調症療養のコツ。今回は「病識とその対策」についてやっていきたいと思います。よろしくお願いします。
    統合失調症の治療は、「薬物療法」と「心理社会的治療」の2本柱であります。これを続けることで個人差はあるものの、「症状の安定」と「段階的な社会参加」を見込みます。
    一方で、この2つの前提にあるのが、「自分には統合失調症がある」といういわゆる「病識」です。これがないと取り組みの前提が崩れてしまうことになります。
    一方で、統合失調症では時にこの病識を「欠いて」しまうことがあり、臨床では大きな課題になっています。今回は、この「病識とその対策」についてやっていきたいと思います。
    <統合失調症・病識とは>
    まず、統合失調症を振り返りますと、これは悪化した時に幻覚や妄想などが目立つ脳の病気になります。
    薬物療法を改善後も続けていきながら、心理社会的治療を組み合わせて治療していきます。
    再燃を防ぎつつ治療を続けていきますと「段階的な社会参加」が現実的に見えてきます。
    この中で「病識」ですが、定義とは「自分にその病気がある」という認識になります。
    これがあると自発的治療を続ける動機付けになる一方で、これがない場合は本人の中での治療の意義というのが失われてしまいます。
    <病識→治療の例と、病識が失われたとき>
    これ例を見てみますと、例えば体の病気「アレルギー性鼻炎」があった時に、鼻炎がある・それが気になるから、じゃあ対策・治療しようと。お薬を使うかもしれないし、マスクをするかもしれませんし、色々あります。
    これは統合失調症でも同じでして、統合失調症があるという中で、じゃあ対策と治療、薬物療法と心理社会的治療になります。
    ここにおいて、もし病識がない、つまり「統合失調症がある」という前提の病識を欠いてしまいますと、この前提が崩れてしまいます。
    <統合失調症と病識、欠いた時のリスク>
    統合失調症と病識ということですけれども、統合失調症では特に治療を「続けてやっていく」ということが非常に色んな意味で大事ですので、病識はとても大事です。
    一方で、臨床上「病識を欠く」ことは多いです。これが再燃などの大きなリスクにもなっています。
    対策は大事な一方、薬などの「標準的な治療」がないのが現実です。
    一方、「病識を欠いた時」のリスクは様々です。
    1つ目一番大きいのが治療の中断、それからの強い再燃のリスクです。
    後はリハビリなどの動機付けがなくなるので、陰性症状などが続くリスクがあります。
    そして、特に再燃した時、周りからの偏見や嫌悪感が増えてしまうリスクがあります。
    <統合失調症で病識を欠く理由>
    では、統合失調症でどうして病識を欠くことが少なくないかの理由ですが、病識を欠く理由、大きく言うと2つと捉えています。
    1つ目は「脳のレベルの話」1種の「病態失認」といって、「あるんだけれども、見えないような状態」になるということは指摘されています。
    あともう一つが病気のいわゆる「否認」、本当は分かっているんだけれども、認めたくないという場合のこともあります。
    <①脳のレベルでの「失認」>
    まずは1つ目の「脳レベルでの病識欠如」、これはもう「見えているけれども、認識ができない」いわゆる失認と言われるものの1種と言えるかと思います。
    これは、どのぐらい・どこの病識をそういう意味で欠いているか個人差は大きいです。
    具体例を見ていきますと、例えば人によっては「自分は何も辛くなくて、統合失調症でもないし元気だ」という方もいらっしゃる。
    一方で「統合失調症はないけれども、不安になったり、眠れないということはある」という他の症状があるという方もいらっしゃいますし、また「統合失調症はないけれども、幻聴が聞こえてくるのがつらい」症状の一部は認めているという場合もあります。
    なかなかこれはもう正面から言い合ってしまうと、なかなかうまくいかない。
    医師の方でもう「統合失調症があるので治療します」と、患者さんとしては「いや、統合失調症はないですよ」となってしまうと、もう平行線なのでこれは注意が必要です。
    ここで両者のニーズを振り返ると、やはり医師としては治療・ぶり返しを防ぐための治療をしていきたいです。そうすると治療・特に薬を続けてもらいたいというのがある。
    患者さんとしては、そのつらさを何とかしてほしいと、統合失調症があれば統合失調症をなんですけど、それ(統合失調症への病識)がなくても不安などがあれば、そのつらさを何とかしてほしい事がニーズとしてあります。
    この両者のニーズの「妥結点」というところを、何とか探していけないかということです。例を見ていくと、医師の方で「不安を和らげる安定の薬があります」と、そう言えば、患者さんとしても「不安が和らぐのは助かります」ということで納得できるところがあります。
    この場合だと、医師としては、薬の治療を続けて再燃を防ぐところになりますし、患者さんとしてもつらさが軽くなるというところで、お互いがニーズを満たせるということになったりします。
    <②病気の「否認」>
    2つ目の病気の否認というところですけれども、こういったケースも少なくありません。
    確かに受け入れには非常に痛みを伴うのは現実です。
    統合失調症になりますと、やっぱりずっと薬などの治療を続ける必要がありますし、それでもなお再燃するリスクは常にある中でやっていく必要があります。
    そして、人生設計であったり、人間関係の関係性などの再構築がどうしても必要になってくることが多いです。
    そして、その中でも、周りからの偏見というものは、どうしても避けられないところがあったりします。
    となると、なかなか受け入れは難しいんですけどもでは、受け入れた方がプラスの意味はないかというのがこういった時に一つ対策かと思います。
    実際はプラスの面というのは大きくあります。
    まず、1つ目としては受け入れたことによって再燃する率は大きく下がることが想定される。それも仮にぶり返しても、薬をながらの再燃ならだいぶ軽症になりやすいです。
    そして、リハビリなどの色々な取り組みを続けることで、生活の困難は改善していきます。
    さらに、その先には再燃に注意しながらも、社会参加への道もあります。
    「それでも、なかなか受け入れられません」というご質問を受けることがあります。
    ここは焦らず、徐々にもう期間を掛けて徐々にやっていくということになると思います。
    <最近の変化、医療と偏見等>
    そこの上で最近の変化ということで参考になることを2つ、最後に挙げておきたいと思います。
    まず、1つ目の変化としては、医療の変化です。
    以前ですと、統合失調症ということを受け入れると、もう「長期入院」とか「凄い強い薬を飲む」みたいなイメージがある方もいらっしゃると思います。
    ただ、ここに関しては、新規での長期入院というのは今最近だいぶ減っています。原則3か月以内ということになっています。
    また、薬の副作用に対しても、以前のような「多剤大量療法」というのは影を潜めまして、副作用に関しても以前よりは大幅に軽減しているというのが印象にあります。
    さらに「就労移行支援」というのが、ここ最近でだいぶ普及しまして、それによって2年間のリハビリを経て、現実的な社会復帰というルートはだいぶ確保されてきたということが以前からの大きな違いになります。
    2つ目としては、周囲の偏見という話がありましたけど、そこの変化になります。
    以前ですと、この「病名」があるから凄い偏見で見られるということは、現実的に聞くところでありました。これも変化があります。
    いわゆる多様性という流れの話、あとはだいぶメンタルヘルスの啓発が進んできたという話もありまして、統合失調症に対しての実際に見る前からの偏見・イメージレベルでの偏見というのはだいぶ減ってきているというのがこちらの実感としてあります。
    一方でなんですけれども、実際に関わって嫌な思いをした「実体験での嫌悪感」という話というのは、むしろ最近の方が目立って出てきているように思います。関わる機会が増えた分、目立ってきているように思います。
    なので、偏見にどう対策するかというのは、もう病気があるかないかというのは、以前はもうそこで決まっちゃってたんですけれども、今はむしろそうではなくて、病名自体というよりも、それをどう自己管理して他の人とうまく関わっていくか。その自己管理するかどうかで、偏見などもだいぶ変わってくるというのが今の時代になってきているようです。
    <まとめ>
    今回は統合失調症療養のコツ「病識とその対策」について見てきました。統合失調症は、治療の継続によって色んな症状などの改善が見込めますけれども、前提には「病識」というものがある。一方で、これを欠くリスクが高いというのが統合失調症になります。
    理由の一つとしては、失認と言って「見えるけれど、認識できない」という場合が出ることがあります。ただ、この場合、部分的には認識できる場合は少なくないので、そこを糸口にお互いの妥結点というのを探していけたらと思います。
    もう一つの理由が「否認」になります。受け入れるということ、やはり痛みを伴いますので、これはもう時間をかけて行なう必要があると。一方で、以前と比べると今は「受け入れることでのメリット」というのは、だいぶ以前よりは増えてきているというところはあるんだと思います。
    こころ診療所グループ(医療法人社団Heart Station)
    府中こころ診療所(東京都府中市宮西町1-1-3三和ビル2階、☎042-319-7887)
    こころ診療所吉祥寺駅前(東京都武蔵野市吉祥寺南町1-4-3ニューセンタービル6階、☎0422-26-5695)
    #統合失調症 #病識  #否認 #疾患受容 #再燃予防  
    【解説者】
    医療法人社団Heart Station 理事長 府中こころ診療所院長 春日雄一郎
    精神科医(精神保健指定医、日本精神神経学会精神科専門医)
    2005年東京大学医学部卒業、NCNP病院、永寿会恩方病院等を経て、2014年に府中こころ診療所を開設、その後医療法人化し理事長に就任、2021年8月に分院「こころ診療所吉祥寺駅前」を開業。メンタルクリニックの現場で、心療内科・精神科の臨床に取り組み続けている。
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