「ブラックスワン 不確実性とリスクの本質」17 ロックの狂える人、あるいはいけない所にベル型カーブ

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  • Опубликовано: 2 фев 2025
  • ブラックスワン第17章 - ガウス分布の誤用と歴史的教訓
    「ブラックスワン」第17章では、正規分布(ガウス分布)の誤用がもたらすリスクと、それが引き起こした金融危機に焦点が当てられています。特に1987年のブラックマンデーや2008年の金融危機がその典型例として挙げられています。
    正規分布は、リスク評価や統計学で広く用いられる手法ですが、まれな事象(ブラックスワン)を無視する構造を持っています。そのため、株式市場や経済のような「派手の国」の現象には適合しません。例えば、過去50年間の株式リターンの半分が上位10日間の結果によるという事実を無視し、ガウス分布を適用することで、金融市場の真のリスクを軽視することが問題視されています。
    著者ナシーム・ニコラス・タレブは、マイロン・ショールズやミルトン・フリードマン、ハリー・マーコビッツ、ウィリアム・シャープらが、正規分布や標準偏差を過信し、不確実性の高い現象を誤って評価したと批判します。一方で、ダニエル・カーネマンやフリードリッヒ・ハイエクのように、人間の意思決定や複雑性に対する深い洞察を持つ経済学者たちは評価されています。
    正規分布を利用したリスク評価は、標準偏差や「シグマ」といった指標を用いて極端な事象を無視するため、1987年や2008年のような危機を予見できませんでした。特に、標準偏差でリスクを測定する手法は「インチキ」とまで批判され、金融危機の原因の一端として挙げられています。タレブは、現代社会における「ロングテール」の性質を正確に把握するためには、マンデルブローやフラクタル理論を用いるべきだと主張します。
    また、タレブは「20年に一度の確率の事象が20年周期で起こる」という誤解も批判します。このような誤った考え方は、正規分布の不適切な利用に起因しており、現実世界のリスクを過小評価する結果を招いています。
    さらに、タレブは「証拠がないこと」と「存在しないこと」を混同する誤謬や、極端に少ないデータを基に結論を導く統計的な問題点を指摘します。ガウス分布を用いるには膨大なデータが必要ですが、現実的にはそのようなデータを得るコストが非常に高いため、不完全なデータで判断する危険性が高いとされています。
    本章の結論として、タレブは「正しいことをざっぱに行う」ことの重要性を強調しています。過度に几帳面に数学的手法を適用するのではなく、大局的な視点から現実の複雑性に向き合うことが必要であると説いています。この章は、金融理論の根本的な再考を促し、リスク管理の新しい方向性を示唆しています。

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