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【帰途】言葉なんかおぼえるんじゃなかった言葉のない世界意味が意味にならない世界に生きてたらどんなによかったかあなたが美しい言葉に復讐されてもそいつは ぼくとは無関係だきみが静かな意味に血を流したところでそいつも無関係だあなたのやさしい眼のなかにある涙きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦ぼくたちの世界にもし言葉がなかったらぼくはただそれを眺めて立ち去るだろうあなたの涙に 果実の核ほどの意味があるかきみの一滴の血に この世界の夕暮れのふるえるような夕焼けのひびきがあるか言葉なんかおぼえるんじゃなかった日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげでぼくはあなたの涙のなかに立ちどまるぼくはきみの血のなかにたったひとりで掃ってくる【夏の光り】おれはヨット乗りの絵描きと上野駅の殺風景な構内で神が到着するのを待っていた午後六時三分の上野着で神は千三百米の高原からワラビとシイタケを両手にぶらさげて汽車からおりてくるはずだったおれとヨット乗りは缶詰ビールをやたらに飲み七時十五分まで待った大西洋を十九日で横断したのは一瞬の出来事だったが神が汽車に乗りおくれた一時間はちょっとながすぎるぞとヨット乗りはぼやいた【言葉のない世界】1言葉のない世界は真昼の球体だおれは垂直的人間言葉のない世界は正午の詩の世界だおれは水平的人間にとどまることはできない2言葉のない世界を発見するのだ 言葉をつかって真昼の球体を 正午の詩をおれは垂直的人間おれは水平的人聞にとどまるわけにはいかない3六月の真昼陽はおれの頭上におれは岩のおおきな群れのなかにいたそのとき岩は屍骸ある活火山の大爆発のエネルギーの熔岩の屍骸なぜそのときあらゆる諸形態はエネルギーの屍骸なのかなぜそのときあらゆる色彩とリズムはエネルギーの屍骸なのか一羽の鳥たとえば犬鷲はあのゆるやかな旋回のうちに観察するが批評しないなぜそのときエネルギーの諸形態を観察だけしかしないのかなぜそのときあらゆる色彩とリズムを批評しようとしないのか岩は屍骸おれは牛乳をのみ擲弾兵のようにパンをかじった4おお白熱の流動そのものが流動性をこばみ愛と恐怖で形象化されない冷却しきった焔の形象死にたえたエネルギーの諸形態5鳥の目は邪悪そのもの彼は観察し批評しない鳥の舌は邪悪そのもの彼は嚥下し批評しない6するどく裂けたホシガラスの舌を見よ異神の槍のようなアカゲラの舌を見よ彫刻ナイフのようなヤマシギの舌を見よしなやかな凶器 トラツグミの舌を見よ彼は観察し批評しない彼は嚥下し批評しない7おれは冥王星のようなつめたい道をおりていった小屋まで十三キロの道をおりていった熔岩のながれにそって死と生殖の道をいまだかつて見たこともないような大きな引き潮の道をおれは擲弾兵あるいはおれは難波した水夫あるいはおれは鳥の目おれはフクローの舌8おれはめしいた目で観察するおれはめしいた目をひらいて落下するおれは舌をたらして樹皮を破壊するおれは舌をたらすが愛や正義を愛撫するためでないおれの舌にはえている銛のような刺は恐怖と飢餓をいやすためでない9死と生殖の道は小動物と昆虫の道喊声をあげてとび去る蜜蜂の群れ待ちぶせている千の針 万の針批評も 反批評も意味の意味も批評の批評もない道空虚な建設も卑小な希望もない道暗喩も象徴も想像力もまったく無用の道あるものは破壊と繁殖だあるものは再創造と断片だあるものは断片と断片のなかの断片だあるものは破片と破片のなかの破片だあるものは巨大な地模様のなかの地模様つめたい六月の直喩の道朱色の肺臓から派出する気嚢氷嚢のような気嚢が骨の髄まで空気を充満せしめ鳥は飛ぶ鳥は鳥のなかで飛ぶ10鳥の目は邪悪そのもの鳥の舌は邪悪そのもの彼は破壊するが建設しない彼は再創造するが創造しない彼は断片 断片のなかの断片彼には気嚢はあるが空虚な心はない彼の目と舌は邪悪そのものだが彼は邪悪ではない燃えろ 鳥燃えろ鳥 あらゆる鳥燃えろ 鳥 小動物 あらゆる小動物燃えろ 死と生殖燃えろ 死と生殖の道燃えろ11冥王星のようなひえきった六月冥王星のようなひえきった道死と生殖の道をおれはかけおりるおれは漂流するおれはとぶおれは擲弾兵しかもおれは勇敢な敵だおれは難破した水夫しかしおれは引き潮だおれは鳥しかもおれは目のつぶれた猟師おれは猟師おれは敵おれは勇敢な敵12おれは日没とともに小屋にたどりつくだろう背のひくいやせた灌木林がおおきな森にかわり熔岩のながれも太陽も引き潮もおれのちいさな夢にさえぎられるだろうおれはいっぱいのにがい水をのむだろう毒をのむようにしずかにのむだろうおれは目をとじてまたひらくだろうおれはウィスキーを水でわるだろう13おれは小屋にかえらないウィスキーを水でわるように言葉を意味でわるわけにはいかない
この詩とても好きです❤️
ですよね🙏✨
孤独な詩ですね。すごく、伝わるものがありました🍀あなたは、すごい感性の持ち主だなって思いました☺️🌟きっと、いろんなことを乗り越えてきたのでしょう。今回の動画は映画を見ているような感覚に陥りました🍀続けてほしいです♪応援しています📣
えいいなんか少し不気味な感じまたこうゆう動画作ってください
ありがとうございます。嬉しいです。
朗読の時、気をつけていることはありますか?
ちゃんと意味を自分なりに理解して読むように気をつけてます🙇♂️
【帰途】
言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか
あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ
あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう
あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか
言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほんのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで掃ってくる
【夏の光り】
おれは
ヨット乗りの絵描きと
上野駅の殺風景な構内で
神が到着するのを待っていた
午後六時三分の上野着で
神は千三百米の高原から
ワラビとシイタケを両手にぶらさげて
汽車からおりてくるはずだった
おれとヨット乗りは缶詰ビールをやたらに飲み
七時十五分まで待った
大西洋を十九日で横断したのは一瞬の出来事だったが
神が汽車に乗りおくれた一時間は
ちょっとながすぎるぞ
とヨット乗りはぼやいた
【言葉のない世界】
1
言葉のない世界は真昼の球体だ
おれは垂直的人間
言葉のない世界は正午の詩の世界だ
おれは水平的人間にとどまることはできない
2
言葉のない世界を発見するのだ 言葉をつかって
真昼の球体を 正午の詩を
おれは垂直的人間
おれは水平的人聞にとどまるわけにはいかない
3
六月の真昼
陽はおれの頭上に
おれは岩のおおきな群れのなかにいた
そのとき
岩は屍骸
ある活火山の
大爆発の
エネルギーの
熔岩の屍骸
なぜそのとき
あらゆる諸形態はエネルギーの屍骸なのか
なぜそのとき
あらゆる色彩とリズムはエネルギーの屍骸なのか
一羽の鳥
たとえば犬鷲は
あのゆるやかな旋回のうちに
観察するが批評しない
なぜそのとき
エネルギーの諸形態を観察だけしかしないのか
なぜそのとき
あらゆる色彩とリズムを批評しようとしないのか
岩は屍骸
おれは牛乳をのみ
擲弾兵のようにパンをかじった
4
おお
白熱の流動そのものが流動性をこばみ
愛と恐怖で形象化されない
冷却しきった焔の形象
死にたえたエネルギーの諸形態
5
鳥の目は邪悪そのもの
彼は観察し批評しない
鳥の舌は邪悪そのもの
彼は嚥下し批評しない
6
するどく裂けたホシガラスの舌を見よ
異神の槍のようなアカゲラの舌を見よ
彫刻ナイフのようなヤマシギの舌を見よ
しなやかな凶器 トラツグミの舌を見よ
彼は観察し批評しない
彼は嚥下し批評しない
7
おれは
冥王星のようなつめたい道をおりていった
小屋まで十三キロの道をおりていった
熔岩のながれにそって
死と生殖の道を
いまだかつて見たこともないような大きな引き潮の道を
おれは擲弾兵
あるいは
おれは難波した水夫
あるいは
おれは鳥の目
おれはフクローの舌
8
おれはめしいた目で観察する
おれはめしいた目をひらいて落下する
おれは舌をたらして樹皮を破壊する
おれは舌をたらすが愛や正義を愛撫するためでない
おれの舌にはえている銛のような刺は恐怖と飢餓をいやすためでない
9
死と生殖の道は
小動物と昆虫の道
喊声をあげてとび去る蜜蜂の群れ
待ちぶせている千の針 万の針
批評も 反批評も
意味の意味も
批評の批評もない道
空虚な建設も卑小な希望もない道
暗喩も象徴も想像力もまったく無用の道
あるものは破壊と繁殖だ
あるものは再創造と断片だ
あるものは断片と断片のなかの断片だ
あるものは破片と破片のなかの破片だ
あるものは巨大な地模様のなかの地模様
つめたい六月の直喩の道
朱色の肺臓から派出する気嚢
氷嚢のような気嚢が骨の髄まで空気を充満せしめ
鳥は飛ぶ
鳥は鳥のなかで飛ぶ
10
鳥の目は邪悪そのもの
鳥の舌は邪悪そのもの
彼は破壊するが建設しない
彼は再創造するが創造しない
彼は断片 断片のなかの断片
彼には気嚢はあるが空虚な心はない
彼の目と舌は邪悪そのものだが彼は邪悪ではない
燃えろ 鳥
燃えろ鳥 あらゆる鳥
燃えろ 鳥 小動物 あらゆる小動物
燃えろ 死と生殖
燃えろ 死と生殖の道
燃えろ
11
冥王星のようなひえきった六月
冥王星のようなひえきった道
死と生殖の道を
おれはかけおりる
おれは漂流する
おれはとぶ
おれは擲弾兵
しかもおれは勇敢な敵だ
おれは難破した水夫
しかしおれは引き潮だ
おれは鳥
しかもおれは目のつぶれた猟師
おれは猟師
おれは敵
おれは勇敢な敵
12
おれは
日没とともに小屋にたどりつくだろう
背のひくいやせた灌木林がおおきな森にかわり
熔岩のながれも太陽も引き潮も
おれのちいさな夢にさえぎられるだろう
おれはいっぱいのにがい水をのむだろう
毒をのむようにしずかにのむだろう
おれは目をとじてまたひらくだろう
おれはウィスキーを水でわるだろう
13
おれは小屋にかえらない
ウィスキーを水でわるように
言葉を意味でわるわけにはいかない
この詩とても好きです❤️
ですよね🙏✨
孤独な詩ですね。
すごく、伝わるものがありました🍀
あなたは、すごい感性の持ち主だなって
思いました☺️🌟きっと、いろんなことを乗り越えてきたのでしょう。
今回の動画は映画を見ているような
感覚に陥りました🍀
続けてほしいです♪応援しています📣
え
いい
なんか少し不気味な感じ
またこうゆう動画作ってください
ありがとうございます。
嬉しいです。
朗読の時、気をつけていることは
ありますか?
ちゃんと意味を自分なりに理解して読むように気をつけてます🙇♂️