第381回「生きるとは、食べて寝ること」2022/1/22【毎日の管長日記と呼吸瞑想】| 臨済宗円覚寺派管長 横田南嶺老師
HTML-код
- Опубликовано: 26 дек 2024
- 【サムネイル写真を募集しております】※概要欄下部をご覧ください。
■管長日記「生きるとは、食べて寝ること」
www.engakuji.o...
最後に一日のはじまりを整える、呼吸瞑想がございます。
-----------------------------------------------------------------------
昨年の六月一日の管長日記で、「笑いやまず」と題して、伊坪浩幸さんのことを紹介しました。
六月三十日にも、「笑う修行」として伊坪さんに笑いのご指導をいただいたことを紹介しました。
その伊坪さんからお葉書を頂戴しました。
伊坪さんのことを、今一度ご紹介します。
伊坪さんは、愛知県に住んでいる理学療法士の方でいらっしゃいます。
伊坪さんは、「笑いを使った腹式呼吸」を普及させようと、全国を講演して回っているというのです。
お目にかかると、とてもお元気で明るい方なのですが、かつてひどいうつ病を患っていたというのです。
今の伊坪さんからはとても想像できません。
薬も服用され、その副作用にも悩まされて苦労されたというのです。
私が伊坪さんのことを知ったのは、日本講演新聞がご縁でありました。
日本講演新聞の昨年五月二十四日号の社説には
「薬を服用したことにより、副作用で度々睡魔に襲われた。患者を診る空き時間に横になることが増えた。すると同僚から「最近よくさぼっている」と陰口を叩かれるようになり、辛くても横になれなくなった。実家は食料販売店を営んでいたが、近所にスーパーが出店し、実家の店はたたむことになった。程なくして父親が脳梗塞で倒れる・・・。
「あの時はどんどん泥沼にはまっていきました。まさに負のスパイラルでした」と当時を笑顔で思い返す。」
と書かれています。
それが、ある日患者の見舞いに来られた方から、「笑い」を勧められました。
その方は、がんから回復された方だというのでした。
「とにかく、笑いまくれ」という言葉に従い、伊坪さんは、車で一時間かけて通勤するその車中で、「がんが治るなら、うつ病は当然治るだろう」と三年間笑い続けたのでした。
しかし、いっこうに改善の兆しがなかったのでした。
それでも笑っている間は、気分が沈むことがないので続けていたそうです。
ある方から、腹式呼吸で笑うときっと効果がありますよとアドバイスをされて、実践し、現在まで八年間笑いを使った腹式呼吸を実践しているとか、笑いを進化させたことによって、劇的に症状は改善し、うつは消えたと書かれていました。
昨年六月に円覚寺にお越しいただいて、伊坪さんの講習を受けました。
独自に工夫された腹式呼吸によって丹田を鍛えてゆくのであります。
自律神経の集まる丹田を呼吸によって、刺激を与えて活性化させるのであります。
内観の法という丹田呼吸によって、病を克服された白隠禅師にも通じるところです。
その伊坪さんからいただいたお葉書には、一月十三日の管長日記で話をした「無駄はない」というラジオが「とてもよかった」と書いてくださっていました。
伊坪さんは、
「時々うつ病を病んだ二十年間は無駄だった」と思うときがあるというのです。
しかし、伊坪さんは、今「お腹がすくこと」「夜ぐっすり眠れること」「大便が出ること」に感謝できるのは、「うつ病を病んだ二十年間があったからなんです」と書かれています。
この伊坪さんの言葉に、感銘を受けました。
「お腹がすくこと」「夜ぐっすり眠れること」「大便が出ること」などは当たり前のことではないかと思われるかもしれません。
そんな程度のことのために、二十年も苦労したのかと笑われるかもしれません。
しかしながら、禅の修行もやはり同じなのです。
二十年苦労して修行し、やはり「お腹がすいたらご飯を食べること」「大小便をすること」「疲れて眠ること」、この尊さを知るのであります。
これは臨済禅師も仰せになっていることにほかなりません。
岩波書店の『臨済録』から入矢義高先生の訳を引用します。
「師は皆に説いて言った、
「諸君、仏法は造作の加えようはない。ただ平常のままでありさえすればよいのだ。
糞を垂れたり小便をしたり、着物を着たり飯を食ったり、疲れたならば横になるだけ。
愚人は笑うであろうが、智者ならそこが分かる。
古人も、『自己の外に造作を施すのは、みんな愚か者である』と言っている。
君たちは、その場その場で主人公となれば、おのれの在り場所はみな真実の場となり、
いかなる外的条件も、その場を取り替えることはできぬ。
たとえ、過去の煩悩の名残や、五逆の大悪業があろうと、そちらの方から解脱の大海となってしまうのだ。」
というのであります。
仏法というのはなにも特別のことはないというのです。
「糞を垂れたり小便をしたり、着物を着たり飯を食ったり、疲れたならば横になるだけ。」だというのです。
臨済禅師は、
「愚人は笑うであろうが、智者ならそこが分かる。」
と仰せになっていますので、
なんだそんなことかと笑う人は愚かな人なのです。
そうだと分かる人は智者なのです。
人間が生きるということは、食べて寝るだけです。
食べることに加えれば出すことです。
食べて、出して寝ていれば、十分立派に生きているのです。
ところが今の価値観、ものの見方では、食べて寝ているだけはなにもならないというのでしょう。
そんなことはないのです。
食べて寝ていれば、立派に生きているのです。
それ以外のことなどは、おまけのようなものです。
そう思って生きれば気が楽になります。
そして年をとって、食べて寝るだけになっても、これで立派に生きていると思って、悲観せずにすみます。
あたりまえのことですが、このあたりまえが尊いのです。
ただその尊さを知るためには、一度あたりまえを失ってみないと分からないのかもしれません。
あたりまえを失って知るあたりまえの尊さなのです。
横田南嶺
-----------------------------------------------------------------------
【サムネイル写真の募集】毎日の管長日記と呼吸瞑想
-----------------------------------------------------------------------
いつもご視聴いただきありがとうございます。
この度「毎日の管長日記と呼吸瞑想ラジオ」につきまして、皆さまからのサムネイル写真を募集いたします。
円覚寺にお越しいただいた皆さまのお勧めスポットや季節・時間帯で変わるお寺の風景、そしてしーちゃんの寝顔などお気に入りの写真をお送りください。
いただいた写真を「毎日の管長日記と呼吸瞑想ラジオ」のサムネイルとして使用させていただきます。
■撮影対象場所
臨済宗大本山 円覚寺山内
■応募内容
・山内のお勧めスポット
・季節や時間帯で変わる円覚寺の風景
・円覚寺の猫 しーちゃんのほっこり姿
など、皆さまのお気に入りの写真をお送りください。
また、お一人さま何枚でもお送りいただけます。
■撮影について
カメラは横向きで撮影お願いいたします。
■応募方法
下記のメールアドレスに必須情報をご記入の上、写真データをお送りください。
※ファイルサイズは25MB以下とします。
【応募必須情報】
・お名前
・フォトネーム (写真を使用させていただいた場合、RUclips概要欄に記載されます。)
・撮影した場所
・撮影日 (不明な場合は記載なしで構いません。)
【応募メールアドレス】
engakuji.yt@gmail.com
■応募条件
応募者がすべての著作権を有している写真に限ります。
応募者ご自身が円覚寺山内で撮影した写真であれば問題ございません。
ただし、被写体に人物が含まれている場合は、事前に承諾を得るなど、肖像権の侵害等が生じないようご確認ください。
■写真使用ついてのご連絡
写真の使用につきましてはRUclipsの動画公開を持って、ご連絡とさせていただきます。
また、応募受領のご連絡は行いません。
■著作権の扱い
お送りいただいた写真データはRUclipsおよびSNS、Webコンテンツ、印刷物等に無償で使用する権利(画題、トリミングの有無を含む)を有することとさせていただきます。
また、応募の送付を持って利用を許諾したものとさせていただきます。
-----------------------------------------------------------------------
-----------------------------------------------------------------------
■公式ホームページ
www.engakuji.o...
■管長侍者日記
www.engakuji.o...
■初めての坐禅
全編 : • 【初めての坐禅】全編
其の一 「足の組み方」 : • 【初めての坐禅】其の一:足の組み方
其の二 「上体の調え方」: • 【初めての坐禅】其の二:上体の調え方
其の三 「呼吸の調え方」: • 【初めての坐禅】其の三:呼吸の調え方
■【国宝舎利殿】特別公開
• 【国宝舎利殿】特別公開
■「祈り」新型コロナウイルスの収束を願い
• 「祈り」新型コロナウイルスの収束を願い | ...
■Instagram
/ engakuji_kamakura
■Twitter
/ engakujik
-----------------------------------------------------------------------
#管長日記, #呼吸瞑想, #毎日更新, #鎌倉, #円覚寺 #禅