三木由希子×神保哲生:国会の情報公開制度の不備が法案の本質的な議論を妨げている

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  • Опубликовано: 10 сен 2024
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    ディスクロージャー & ディスカバリー 第21回(2024年6月28日)
    司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)
     政治資金規正法の改正が6月23日に閉会した国会の目玉だったはずだが、結局裏金の温床となったさまざまな抜け穴はほぼ丸ごと温存されたまま終わってしまった。しかし、法案をめぐる議論が的外れになってしまう原因の一つに、国会の情報公開制度の不備があることは、ほとんど知られていないのではないか。
     今回の政治資金規正法の改正案を巡る論議でも、国会の内外を問わず的外れな議論が多かったが、それもそのはずで、実は実際に改正案の内容を確認した人がほとんどいないまま議論が進んでいたのだ。
     国会に提出された法律の改正案というのは、実は条文の形では書かれていない。衆議院・参議院のウェブサイトにそれぞれ改正案が公開されているが、「何条の何項にxxを足す」とか、「何条の何項の○○を削除する」といった形で現行法からの変更点が羅列してあるだけで、それだけ読んでも意味が分からないようになっている。改正された法案が最終的にどのような内容になるかは、各自が現行法に修正内容を独自に反映させることによってのみ確認が可能となる。
     今回は修正箇所だけでも膨大な量にのぼるため(A4紙に修正点を羅列しただけで20ページを超える)、実際に修正された法律の条文を作成するのはかなり手間のかかる作業になる。実際に改正された法律の条文を完成させる手間をかけた人はほとんどいなかったのではないか。また、仮に誰かそのようなものを作成したとしても、あくまでそれは私的なものであり、国会や法案提出者である自民党による公式な法案とはならない。つまり、最終的な修正法案が事実上存在せず、よってそれを見たことがある人がほとんどいない中で、的外れな法改正の議論が進むという、有り得ないことが起きていたのだ。
     問題はなぜこのような形になっているのか、だ。
     まず大前提として情報公開法は行政機関を対象にしたもののため、国会には適用されない。国会には情報公開法に代わる規定として「衆議院事務局の保有する議院行政文書の開示等に関する事務取扱規程」、「参議院事務局の保有する事務局文書の開示に関する事務取扱規程」なる取り決めが存在するが、あくまで内規であることに加え、何と立法に関係する文書が公開対象になっていない。実際に公開されているのは議員行政文書と呼ばれるもので、これは人事、予算、設備といった行政庶務に関して事務局職員が作成、入手したものを指している。つまり、いつ誰がどこで休暇を取ったかはわかるが、肝心の法案に関する文書や法案に関連した資料などは一切公開されていないのだ。
     法案が内閣が提出する閣法の場合は、管轄する省庁のウェブサイトに条文、理由、要綱、新旧対照表、参照条文の5点セットと呼ばれるものが公開され、法案の中身がある程度はわかるようになっているが、衆議院や参議院のウェブサイトにはこのうち条文と要綱しか公開されていない。今回の政治資金規正法の改正案は議員立法で、しかも法案提出者の自民党が5点セットを公開していなかったため、条文と要綱しか一般には公開されていなかった。これでは国民的な議論が盛り上がらないのは当然だ。
     ちなみに野党も政治資金規正法の改正案を提出しているが、例えば立憲民主党と国民民主党が共同で提出した改正案については、両党のウェブサイトに新旧対照表が公開されている。法案の中身を広く知られたくない自民党が情報公開をさぼり、国会の公開規定も明らかに不十分なために、政治資金規正法改正案の審議は誰もその実物を見ないまま、空疎な審議や議論が行われる結果となってしまったのだ。
     法律を制定したり改正したりする際には、法案の中身が十分に公開され国民に広く周知されて初めて、意味のある国民的議論が可能になることは論を俟たない。それを妨げている最大の原因は国会自体の情報公開に対する後ろ向きな姿勢にある。言うまでもないが、国会が作った法律が正当性を持つためには、国民の理解と支持が不可欠だ。「国権の最高機関」の称号に胡座をかかず、国会はせめて行政機関並の情報公開制度を自ら作ることが急務ではないか。
     情報公開法を作った国会が、最も情報公開に後ろ向きというブラックジョークのような現状は一刻も早く変えなければならない。今回は国会の法案に対する情報公開請求について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。
    【プロフィール】
    三木 由希子(みき ゆきこ)
    NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
    1972年東京都生まれ。96年横浜市立大学卒業。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立し室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。
    神保 哲生(じんぼう てつお)
    ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表・編集主幹
    1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
    【ビデオニュース・ドットコムについて】
    ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。
    (本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
    #情報公開 #三木由希子 #神保哲生 #情報公開クリアリングハウス

Комментарии • 11

  • @user-wh3qp2uc2u
    @user-wh3qp2uc2u 2 месяца назад +6

    三木さん本当にすごい。いつも勉強になります

  • @oresama0710
    @oresama0710 2 месяца назад +10

    法の抜け穴を見つけ出して悪事を働こうとするようになったんだな日本

  • @user-pz6qd6md6z
    @user-pz6qd6md6z 2 месяца назад +7

    犯罪組織が立法すれば悪法にしかならない事を証明するような事になってますね。ここを修正するのにどれだけの期間がかかるんだろう。新たに憲法を守らせる憲法法廷を新設し権力者を裁いて貰いたいと夢想してしまいました。

  • @泥中之蓮
    @泥中之蓮 2 месяца назад +7

    これは非道いですね。何をどう変えたか分からなくなる様にわざとやっているとしか思えませんね。

  • @kireitaiyou3252
    @kireitaiyou3252 2 месяца назад +2

    無茶苦茶な状態なんだ

  • @linksssd5185
    @linksssd5185 Месяц назад

    893とあまり変わらない これが政治家 日本は良くならない 恥ずかしく無いのかな 良い政治家を探して
    私は 投票したいです。

  • @cs18983
    @cs18983 2 месяца назад

    そもそもの順序として新旧対照表を作成してから改正法案を作成するのでは?

  • @sin10209
    @sin10209 2 месяца назад +2

    国会が低次元なのか国民が低次元なのか おそらく後者が先でしょ
    そんな国民にすべての情報を与えていいものか・・・
    法理も他者も考えず直情的に判断する人にすべてを与えていいのか
    そもそもとしてダメじゃないのかと

    • @masai8301
      @masai8301 2 месяца назад

      確かに、その通りですね。
      でも、ハーベイロードの前提を共有した上で、ノブレスオブリージュ(優者の責務)が重要でしょうねぇ…。