【 XlonAxe 】”Backdoor Entry”

【 XlonAxe 】ALBUM "VIRTUAL OVERLOAD"
track08：Backdoor Entry
Episode 8：”Backdoor Entry”
クロノスからの追跡を振り切ったゼロたちは、新たな隠れ家で態勢を立て直していた。クロノスが雇った傭兵ハッカーたちの執拗な追跡は、まるで終わりが見えない。
この状況を打破するためには、敵の出方を見るだけでなく、こちらから積極的に仕掛けていく必要があった。
「連中は、審判者の命令で動いている…」
ゼロは、傍受した通信記録を思い返していた。審判者。その正体はクロノス・コーポレーションの創設者の一人。過去に姿を消したとされていた人物が、今になってプロジェクト・クロノスの最高責任者として現れた。彼の目的は一体何なのか？
「審判者の目的を探るためには、もっと深くクロノスのネットワークに侵入する必要がある」
ゼロはそう結論付けた。しかし、正面からの侵入は不可能に近い。傭兵ハッカーたちの監視は厳重で、ちょっとした動きも見逃さないだろう。
そこで、ゼロは別の方法を考えた。それは、敵のネットワークに「バックドア」を見つけ、そこから侵入するというものだった。
バックドアとは、システム管理者がメンテナンスなどのために用意した、正規のルート以外からの侵入口のこと。通常は厳重に管理されているはずだが、何らかの理由で放置されている場合がある。
ゼロは、クロノスのネットワークに、そのようなバックドアが存在する可能性にかけていた。
シグナルとフェイズの協力を得て、ゼロはクロノスのネットワーク構造を徹底的に分析し始めた。膨大なデータの中から、わずかな異常を探し出す。それは、まるで砂漠の中から針を探すような作業だった。
数時間後、シグナルが声を上げた。
「ゼロ！見つけたぞ！クロノス・コーポレーションの旧データサーバーに、未修正の脆弱性が残っている！」
それは、数年前に運用を停止したデータサーバー。現在はネットワークから隔離されているはずだが、何らかの理由で完全に遮断されていなかった。そこが、まさにバックドアとなり得る場所だった。
早速、ゼロは旧データサーバーへのアクセスを試みた。ネットワークの隙間を縫うように、慎重に侵入していく。
傭兵ハッカーたちの監視をかいくぐりながら、目的の場所へと近づいていく。
旧データサーバーに到達したゼロは、その内部構造を調べ始めた。埃をかぶった古いデータが山のように積み重なっている。その中に、目的の情報があるかもしれない。
データを一つ一つ調べていく中で、ゼロは驚くべき事実を発見した。旧データサーバーには、プロジェクト・クロノスの初期段階のデータが保管されていたのだ。そこには、現在の計画とは異なる、別の目的が記されていた。
「ニューラルリンク…元々は人々の精神疾患を治療するための技術だった…？」
現在のプロジェクト・クロノスは、ニューラルリンクを使って人々の意識をコントロールしようとしている。
しかし、初期段階では、精神疾患の治療という、全く異なる目的で研究されていたのだ。
「一体何がきっかけで、目的が変わってしまったんだ…？」
ゼロの疑問は深まるばかりだった。その時、旧データサーバーのネットワーク接続が回復した。誰かが、意図的に接続を再開させたのだ。
「まずい！誰か来る！」
ゼロは急いでデータをダウンロードし、バックドアから撤退した。背後から、複数のアクセスが迫ってくるのを感じた。
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