【 XlonAxe 】”Shadow Run”

【 XlonAxe 】ALBUM "VIRTUAL OVERLOAD"
track03：Shadow Run
Episode 3：”Shadow Run”
クロノス・コーポレーションのファイアウォールを突破したゼロは、データサーバー内部へと侵入した。膨大な情報が洪水のように流れ込む中で、彼は目的のデータを探し出そうとしていた。それは、クロノスから送られてきたメッセージにあった「システムの異常」に関する情報。そして、その背後に隠された巨大な陰謀の手がかりだ。
サーバー内部は、迷宮のように複雑な構造をしていた。データの流れは、まるで血管のように枝分かれし、無数の場所に繋がっている。ゼロは、ゴーストプロトコルを維持しながら、その流れを注意深く辿っていく。
やがて、彼は目的のデータを発見した。それは、厳重に暗号化されたファイルだった。しかし、ゼロは躊躇なく暗号解読を開始した。彼のハッキング技術をもってすれば、このような暗号は造作もない。
数分後、暗号は解読され、ファイルの中身が明らかになった。そこに記録されていたのは、驚くべき内容だった。
「プロジェクト・クロノス…？」
ファイルには、そう題された極秘プロジェクトの詳細が記されていた。それは、都市全体の情報ネットワークを完全に掌握し、市民の行動を監視、管理するという、恐るべき計画だった。
ゼロは息を呑んだ。クロノスが言っていた「システムの異常」とは、このプロジェクトのことだったのか。しかし、なぜクロノス自身が、この情報をリークしてきたのだろうか？
疑問を抱きながらも、ゼロはさらにファイルの奥深くへと進んでいった。すると、プロジェクトの実行スケジュール、関与している人物、そして、その目的が明らかになった。
プロジェクト・クロノスは、都市の支配を強化するだけでなく、ある特殊な技術を利用して、人々の意識までもコントロールしようとしていた。その技術とは、「ニューラルリンク」。
以前、ゼロもその研究に携わっていたことがあった。脳とコンピューターを直接接続する技術。それは、人々の生活を大きく変える可能性を秘めている一方で、悪用されれば、恐ろしい結果をもたらす危険性も孕んでいた。
「まさか…クロノスはニューラルリンクを…」
ゼロは背筋が寒くなるのを感じた。もし、クロノスがニューラルリンクを悪用すれば、都市の市民は完全にコントロールされてしまう。自由意志を奪われ、操り人形と化してしまうだろう。
その時、背後から鋭い気配を感じた。何者かが、ゼロの存在に気づいたのだ。モニターには、警告を示す赤いアラートが点滅し始めた。
「まずい…見つかったか！」
ゼロはデータをダウンロードし、すぐに撤退しようとした。しかし、敵の反応は早かった。ネットワーク全体にロックダウンがかけられ、脱出経路が遮断されてしまったのだ。
「シャドウラン…始めるか」
ゼロは呟いた。シャドウラン。それは、裏社会で使われる言葉で、秘密裏の潜入作戦を意味する。彼は、この状況を打破するため、最後の手段に出ることを決意した。
データストリームの中を、影のように駆け抜ける。敵の追跡をかわし、脱出経路を探す。まさに、シャドウラン。
背後から迫り来る敵の影を感じながら、ゼロは必死に逃走を続けた。クロノスの陰謀を阻止するため、彼は絶対に捕まるわけにはいかない。
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