that の起源は端的にいえば the のような冠詞(別の言い方をすれば無標の指示詞)です.動画でも述べたように,もともとは指示詞が関係詞を兼任していたので,that はある意味では本来的な関係詞としてふさわしいともいえます.一方,this は近くにあるものを指す(近称)の指示詞(別の言い方をすれば有標の指示詞)として特殊な存在で,関係詞という一般的・機能的な用法に発展しにくかったのかなと考えています(that に比べれば,ということです).ポテンシャルとしては,this も関係詞の候補となり得るとは思いますけれども.
旧約聖書で神が名乗るときにI am who AMと言ってたのがとても驚きでした 日本語訳では「我は有りて在るものなり」みたいにしてなってましたが 普通ならI am who isナントカみたいになるところですが、神は他力ではなく自力で存在しているからwho amを使っていい、という説明を読んだことがあります
英文法はやはり面白いですね。特にwhoの話がとても面白かったです。(5:30)
ちなみに、thatは代名詞はもちろん関係詞やthat節など多様に使われますが、thisはあまりそーゆうのがありません。何か理由とかありますか?
that の起源は端的にいえば the のような冠詞(別の言い方をすれば無標の指示詞)です.動画でも述べたように,もともとは指示詞が関係詞を兼任していたので,that はある意味では本来的な関係詞としてふさわしいともいえます.一方,this は近くにあるものを指す(近称)の指示詞(別の言い方をすれば有標の指示詞)として特殊な存在で,関係詞という一般的・機能的な用法に発展しにくかったのかなと考えています(that に比べれば,ということです).ポテンシャルとしては,this も関係詞の候補となり得るとは思いますけれども.
旧約聖書で神が名乗るときにI am who AMと言ってたのがとても驚きでした
日本語訳では「我は有りて在るものなり」みたいにしてなってましたが
普通ならI am who isナントカみたいになるところですが、神は他力ではなく自力で存在しているからwho amを使っていい、という説明を読んだことがあります
He is a great linguist, which I am not.の場合、linguistは職業名であって人間そのものを示しているのではないので、whoではなくwhichになるのでは?
趣味でロシア語をやっています。
近代まで、英語ではWhichが先行詞関係なく関係代名詞として使われる疑問代名詞だったとは、非常に驚かされました。
ロシア語には、英語のWhich(どっち)にあたる疑問代名詞がありません。
ロシア語は疑問(代名)詞が多く「あなたはどこから来ましたか?(Where are you from?)」「あなたはどこに行くのですか?(Where are you going?)」のように、
英語ではWhere一語で成立する疑問文も、ロシア語では違う疑問詞を使用する(ちなみに前者はОткуда、後者はКуда)のに、です。
無理やりWhichにあたる疑問代名詞を適用するなら「何番目の」「どんな」にあたるкоторыйが相当します。
しかし、которыйを疑問代名詞として使うのは時間を訊くときくらいですし、普通はкоторыйを使わず、数量を示す疑問代名詞Сколько(What, How)を使います。
じゃあкоторыйはどんなときに使うのかと言うと、これが関係代名詞としてなんですね。
ロシア語の関係代名詞も英語同様、先行詞の品詞によって疑問代名詞を用いて細かく使い分けますが、その際は「関係副詞」という別の文法用語で呼ばれます。
関係代名詞которыйは、他の屈折語同様先行詞を受けて格変化しますし、場所の場合は前置詞も付きますが「関係副詞」は「副詞」なので先行詞の性・数・格
による変化がないので区別されています。
つまり、ロシア語の関係代名詞はкоторыйで、英語のWhichにあたる疑問代名詞でもあるということです。
そしてそのWhichが、関係代名詞として近代まで先行詞関係なく使える万能疑問代名詞であったと。
まあ、英語もロシア語も印欧祖語から発展した言語なので、共通点があるのは当然といえば当然ですが・・・。
今回もすごく面白かったです!
関係代名詞はthatが1番古いとのことですが、一方で強調構文はthatよりもwho, whichが古いと聞いたことがあります。
ここの逆転現象はどういうものなのでしょうか?強調構文のthatと関係詞のthatは関係があるのでしょうか?
お伺いできますと幸いです。
会話または英作で関係詞を使う時、"wh-"と"that"どっちを使うか迷います。ネイティブはどっちをよく使うんですか?
これはコーパスマターですね.ちゃんと調べなければいけませんが,例えばアメリカ英語の口語では,that (あるいはゼロ関係詞)が圧倒しているのではないでしょうか.
この質問に触発され,「#4752. which vs that --- 関係代名詞の選択の陰にひそむ使用域」 user.keio.ac.jp/~rhotta/hellog/2022-05-01-1.html を書いてみました.ラフな分布ですが,雰囲気は分かるかと思います.
とても面白いビデオでした ありがとうございます!
先日 「抹殺した男 三上章評伝」を読みとても面白かったのですが いま現代日本語の文法はこれが通説だというようなものはあるのですか?
また 英語に主語が必要なのは 主語がないと動詞のかたちが定まらないからと聞きましたが そういうことですか?
ことばの歴史は とても楽しいテーマですが そこからまた疑問がうまれてしまいます…
「これぞ通説」というのは,日本語も英語もないのではないでしょうか.伝統的なものや理論的なものを含めて様々な文法があって,何をもって通説・定説とするかは難しいところです.言語学という領域の多様性といいますか,分断といいますか,その辺りの事情があります.
「英語に主語が必要なのは 主語がないと動詞のかたちが定まらない」というのは確かにそうなのですが,実はこれは英語のみならず印欧諸語全般に当てはまります.印欧語では,言語によって主語は省略されることはあっても,基底には必ずあることになっています.英語も古くは主語の省略はそこそこありました.
「~だよ。だれかというと… どれかというと… なぜかというと… どこかというと… いつかというと…だよ。」みたいに一人ツッコミして話を続けると,疑問詞が形容詞節率いる関係詞になっちゃったんじゃないかな感があります。いつもへ~なお話,ありがとうございます。
一人ツッコミ説,十分にあると思いますねぇ.