【フリーBGM×キュンとする恋愛Story】夜、もう一度 ～ユウタとカナ～ / YASURAGICOM【公式】

「夜、もう一度」
静かな夜。部屋の空気は少し冷えているのに、心臓の音だけがやけに熱を帯びて響いている。
テーブルには飲みかけのコーヒー。カーテンの隙間から、街の灯りがぼんやりと差し込んでいる。
ユウタはソファに座り、カナを見つめていた。久しぶりにこうして向かい合う。けれど、沈黙が続いている。
来てくれて、ありがとう。ユウタが静かに言うと、カナは少しだけ視線を落とし、指先でカップの縁をなぞった。
もう、帰ろうか迷ってた。でも、ユウタの顔見たら、なんか……帰れなくなった。
カナの声はどこか不安げで、でも少しだけ懐かしさが滲んでいる。ユウタはそれを聞いて、ふっと小さく笑った。
俺も、こうして話せるのが夢みたいだよ。ずっと、後悔してたから。
カナが顔を上げる。目が合うと、昔の記憶が一気に蘇る。楽しかった時間も、すれ違った日々も、全部。
ユウタはゆっくりと手を伸ばした。迷いながらも、カナの指先に触れる。
嫌だったら、言って。
カナは驚いたように目を瞬かせ、でも手を引かなかった。代わりに、そっと指を絡めてきた。
ずるいよ、こんなの。
泣きそうな笑顔だった。
ユウタはその手を少しだけ強く握る。
もう一度、やり直したい。
カナはしばらく何も言わなかった。ただ、静かにユウタの手を握り返した。
夜の静寂の中、二人の気持ちが少しずつ、溶けていく。