ゲートウェイ反射による組織特異的炎症性疾患の誘導機構 - 村上 正晃 - 第8回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム(2022年2月13日)
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- Опубликовано: 20 янв 2025
- 第8回 京都大学 − 稲盛財団合同京都賞シンポジウム 「免疫系による個体統御ーがん、老化、脳、腸内細菌」
「ゲートウェイ反射による組織特異的炎症性疾患の誘導機構」
村上 正晃(北海道大学 遺伝子病制御研究所 教授)
近年、分子的にも免疫系と脳神経系の相互連関の実態が明らかになってきた。私たちは、2012年に、その1つである「ゲートウェイ反射」を発見した。重力に特異的な神経回路の活性化により第5腰髄の背側部分の血管でミエリン分子を認識する自己反応性CD4+T細胞の侵入口(血管ゲート)が形成され組織特異的な炎症性疾患が生じる「重力ゲートウェイ反射」である。その誘導のための分子機構の解析から、最大の抗重力筋であるヒラメ筋を起点とする感覚神経―交感神経のクロストークがノルアドレナリン依存性に当該部位に血管ゲートを形成していた。2019年には、本発見をもとに、世界で初めて病態モデルマウスをJAXAとNASAとの共同研究にて国際宇宙ステーションに送り無重力状態でのゲートウェイ反射病態の制御機構を解析している。
重力以外の刺激を起点とする新規ゲートウェイ反射に関しては、その後、痛み、ストレス、光、遠隔炎症、人為的な電気刺激などで、それぞれ別の部位に血管ゲートができ、血中の自己反応性CD4+T細胞の存在下に、組織特異的な炎症性の病態が誘導、あるいは抑制されることがわかった。特にストレスゲートウェイ反射では、ミエリン特異的な自己反応性CD4+T細胞が血液中に一定数以上存在した時に、脳の特定血管2箇所にてゲートウェイ反射が生じ、微小炎症が生じること、さらにその後、当該微小炎症部位から産生されるATPが神経伝達物質として作用し、新たな神経回路を活性化して最終的に上部消化管に分布する迷走神経が過剰に活性化、胃、十二指腸の炎症から心臓の機能不全を引き起こして突然死を引き起こすことがわかった。今回の講演では、重力ゲートウェイ反射の発見からその後の発展と現在ムーンショットプログラムとして実施しているゲートウェイ反射を用いた神経モジュレーションによる新規治療法開発の可能性を議論したい。
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京都大学-稲盛財団合同京都賞シンポジウム(略称“KUIP”クイップ)は、京都大学主催・公益財団法人稲盛財団共催により、2014年から毎年開催している国際シンポジウムです。昨年に続き2021年度もオンラインで開催しました。
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