第73回 奈倉京子さんインタビュー『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』

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  • Опубликовано: 13 дек 2024
  • 今回は2023年に東方書店より出版された『中国の知的障害者とその家族〜「新しい社会性」のエスノグラフィー』の筆者である奈倉京子さんにお話を伺いました。インタビュアーは松田ヒロ子さんです。
    【著作概要】本書は、家族以外の多様な他者とのかかわりが必要とされる障害者とその家族を対象に、障害のある家族成員のケアは家族以外の社会関係(中間的領域/組織)に頼ることができるのか、あるいは家族へ全面的に依存せざるを得ない状況にあるのかといったことを考察する。
    民間組織「機構」の役割を当事者の目線で検討し、また複数の障害者家族への聞き取りを通して、中国西北部に暮らす知的障害者とその家族の生の営みを記述したものである。
    第一部では法整備や中間的領域/組織の成り立ちなど、社会の面から障害者家族とのかかわりを考察した。第二部は知的障害の子をもつ家族の聞き取りをもとに、個人の側から障害者とその家族の「新しい社会性」の内実を描き出した。
    「新しい社会性」とは、家族もしくはその他の社会集団の代表ではない、一人の人間が、個人と個人の間で、社会における活動を通して互いに影響を与え合うことを特徴とする、新たな個人とその結びつきのありかたである。2000年代の中国は、中国共産党の管理と指示に従って行動する必要があり、かつ個人化という「新しい社会性」が生まれている〈ポスト社会主義的状況〉である。
    これらの考察を通して(1)2000年代以降の中国のポスト社会主義的状況が、障害者とその家族にどのような影響をもたらしているのか、(2)中国の障害者とその家族の「新しい社会性」とは何か、について探究している。
    更に、中国は、国連の障害者権利条約を批准しているが、依然として障害者の痛ましい事件が発生している。西側諸国の「普遍的価値観」を受け入れつつ、国内の伝統的価値観とどう折り合いをつけるのか。そのような問題も本書は問うている。
    【ゲスト:奈倉京子プロフィール】1977年、静岡県生まれ。2007年、中国中山大学大学院人文学院(現社会学与人類学学院)博士課程修了・博士(法学、文化人類学専攻)。2022年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了・博士(社会学)。現在、静岡県立大学国際関係学部・教授。専攻は文化人類学、中国地域研究
    主な著書に『帰国華僑〜華南移民の帰還体験と文化的適応』(風響社 2012年)、『中華世界を読む』(編著 東方書店 2020年)、『中国系新移民の新たな移動と経験〜世代差が照射する中国と移民ネットワークの関わり』(編著 明石書店 2018年)。
    【インタビュアー:松田ヒロ子プロフィール】神戸学院大学教員、ブックラウンジアカデミア事務局
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