君が残していった杯の香りに酔

手を伸ばすには遠すぎて
近付くと勇気がない私は
同じ場所でくるくる回りながら
君が残していった杯の香りに酔って泣いている
私も私があなたに近づけない理由が分からない
さっきまで私と会話をしていたあなたの姿が
急に思い出せない
涙も流れないほど
あまりにも突然起きてしまった事件
君との時間は長かったし
もう夜明けの太陽が昇っている
消えたあなたを見つけられるようにしてくれという願いを祈るには
星たちももう消えてしまった後なの
濃く広がる霧という視界のカーテン
このまま永遠に消えてしまおうか
-
私が消えても相変らず美しい夜は訪れるだろう
華やかなパーティーの中で
華やかなあなたのような人々を明らかにするために
月は光を出して笑ってくれるだろう
私が消えた後なら月なんて昇らなければ良いのに
光のない黒い月が浮かんでくれることはできないのか
神様に両手を合わせて祈りをする
世の中を黒く染めてくれ
愛というのは時間が経てば全部忘れられるとは言うが
私はその言葉を信じられない
ちょっとの時間だったかも知れない この刹那の瞬間が
私には一日を生きて行く理由になってくれたのに
そのすべてが消失してしまった今私は
一体何なのか分からない
流れる雲たちだけを恨んで果てしなく見つめる
視線の先には
記憶ほどぼやけた水平線だけが
月と太陽の境界を守っている
彼と交わしたくだらない話
毎日のように交わした通話
スピーカー越しに聞こえてきたその人の声と
私が永遠に忘れられないメロディー
私には記憶が子守歌だったし
そのすべての瞬間が一日を始めるアラーム音だった
すべてが消えてしまった私の一日は
始まりでも終わりでもない また別の概念を作ってしまった
本当に終わりかな？
これ以上はどうすればよいか
今は息をする方法さえ忘れたい
その人がいない空を眺めるのが怖い
繰り返される日々の中
私は暗いカーテンを閉めて 部屋の中で止まってるんだ
今何時なのか
天気がどうか
君がいない世界でそれは何の意味があるだろうか
そのまま全部放してしまいたい
-
私が消えても相変らず美しい夜は訪れるだろう
華やかなパーティーの中で
華やかなあなたのような人々を明らかにするために
月は光を出して笑ってくれるだろう
私が消えた後なら月なんて昇らなければ良いのに
光のない黒い月が浮かんでくれることはできないのか
神様に両手を合わせて祈りをする
世の中を黒く染めてくれ
イラスト:dreamai
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