三木由希子×神保哲生:行政機関の公益通報者保護制度が行政運営の健全化を阻害している

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  • Опубликовано: 10 сен 2024
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    ディスクロージャー & ディスカバリー 第22回(2024年7月27日)
    司会:三木由希子(情報公開クリアリングハウス理事長)、神保哲生(ジャーナリスト)
     第22回のディスクロージャーは行政機関の公益通報者保護が正常に機能していない問題を取り上げた。
     公益通報とは、組織内で不正や違法行為があった時、組織の構成員がその情報を組織内の適切な部署や行政機関、さらには外部の報道機関などに提供すること。その通報を通じて、組織の健全な運営を図ることを目的としている。そして、公益通報者保護制度というのは、公益的な目的で組織の不正などを通報した者に対して、その後、制裁を加えたり人事面で不利な扱いをすることを禁止する制度だ。2006年から法律が施行されている。
     公益通報は組織内の情報を組織の構成員が公益的な動機から外部に提供する行為であり、外部から情報の開示を求める情報公開請求とは表裏一体の関係にある。外部から情報公開請求を行うだけでは、実際に組織内でどのような不正行為が行われていたのかや組織が正常に機能していたのかどうかをうかがい知ることは容易ではない。また、外部からはその組織がどのような情報を保有しているかもわからないが、内部の人間はそれをすべて知っている。
     公益通報者保護法は行政、民間を問わずあらゆる組織に適用される法律であり制度だが、民間の企業や組織と比べた時、行政機関には乗り越えなければならない高いハードルがある。それは国家公務員も地方公務員も、それぞれの公務員法によって守秘義務が課されていることだ。守秘義務を課された公務員が、業務上知り得た情報を外部に漏らせば、本来は公務員法違反となる。しかし、法律の建て付けでは、その情報提供がもっぱら公益的な目的であり、なおかつ重大な違法行為を摘発する目的である場合に限り、公務員は公務員法の守秘義務が免除され、公益通報者保護制度の下でその身分を保護されることになっている。通報内容が「もっぱら公益目的」、かつ「重大な犯罪」でなければ、公務員法違反となってしまうのだ。
     そして、公益通報を行う公務員が乗り越えなければならないハードルは、警察官でも同じだ。第1215回のマル激で扱った鹿児島県における警察幹部による警察官の犯罪の隠蔽の摘発も、この問題が関係してくる。
     鹿児島県警は県警の警察官や警察関係者による犯罪行為に関する捜査資料を外部のジャーリストに情報提供したことが、公務員法の守秘義務違反に当たるとして、警察官2人を逮捕している。そのうちの1人は直前に鹿児島県警の生活安全部長を定年退官したばかりの、上級幹部だった。
     逮捕にあたり鹿児島県警のトップである野川明輝本部長は記者会見で、元生活安全部長の警察職員によるメディアへの情報提供は「公益通報には当たらない」との考えを示した。その理由として、警察職員が提供した情報の中には、被害者情報など犯罪の摘発に直接関係のない情報が含まれていたことなどがあげられている。
     つまり、メディアに提供された情報のうち、犯罪に直接関わる部分については公益的通報に当たる可能性があるが、それ以外の情報も含まれていた瞬間に、それは違法行為となるというのが、鹿児島県警の認識ということになる。
     しかし、犯罪行為を提供する際に、その周辺情報を一切含まない形で摘発するというのは、必ずしも現実的ではない。特に今回のように、提供された捜査資料の中に被害者の個人情報が含まれていたことが問題視されることになると、情報提供を受けたメディアは、その情報の裏取り、つまり事実確認さえできなくなってしまう。
     鹿児島県警以外では、兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ問題に関して、告発を行い誹謗中傷やパソコンの私的利用を理由に懲戒処分を受けた元西播磨県民局長が自死するという事態が起きている。これは県が知事の違法行為を摘発する公益通報を行った職員のパソコンを押収した上で、パソコン内にあった職員のプライバシーに関わる情報を他者に開示するなどして、告発をした職員に圧力をかけた結果だったと考えられている。これもまた、行政機関内の公益通報者保護が徹底されていない結果起きた悲劇だった可能性が高い。
     つまるところ、公益通報者保護制度は地方自治体や官庁ではほとんどまともに機能していないようだ。公務員法の守秘義務というハードルのため、公益通報者が逮捕されたり懲戒処分を受けたりすることが頻発しているのだ。民間企業はもとより税金で運営されている行政機関こそ、違法行為が隠蔽されるようなことがあってはならないことは論を俟たない。より公益通報者保護制度が機能してくれなければ困る行政機関内で、公益通報が難しくなっている現状は変わってくれなければ困る。
     現行の公益通報者保護制度の最大の弱点は、この制度が元々、消費者保護を目的とした消費者行政の延長線上にあり、行政の健全な運営を担保するための制度ではないことだ。そのため管轄官庁も消費者庁になっている。無論、消費者保護は重要だが、行政機関の健全な運営のためには、現行の公的通報者保護制度を強化するか、もしくは消費者保護とは切り離した形で、行政機関を対象とする新たな公的通報者保護制度を定める必要があるのではないか。
     行政機関の公益通報をめぐる諸問題について、情報公開クリアリングハウス理事長の三木由希子とジャーナリストの神保哲生が議論した。
    【プロフィール】
    三木 由希子(みき ゆきこ)
    NPO法人情報公開クリアリングハウス理事長
    1972年東京都生まれ。96年横浜市立大学卒業。同年「情報公開法を求める市民運動」事務局スタッフ。99年NPO法人情報公開クリアリングハウスを設立し室長に就任。理事を経て2011年より現職。共著に『社会の「見える化」をどう実現するか―福島第一原発事故を教訓に』、『情報公開と憲法 知る権利はどう使う』など。
    神保 哲生(じんぼう てつお)
    ジャーナリスト/ビデオニュース・ドットコム代表・編集主幹
    1961年東京生まれ。87年コロンビア大学ジャーナリズム大学院修士課程修了。クリスチャン・サイエンス・モニター、AP通信など米国報道機関の記者を経て99年ニュース専門インターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』を開局し代表に就任。著書に『地雷リポート』、『ツバル 地球温暖化に沈む国』、『PC遠隔操作事件』、訳書に『食の終焉』、『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』など。
    【ビデオニュース・ドットコムについて】
    ビデオニュース・ドットコムは真に公共的な報道のためには広告に依存しない経営基盤が不可欠との考えから、会員の皆様よりいただく視聴料(ベーシックプラン月額550円・スタンダードプラン1100円)によって運営されているニュース専門インターネット放送局です。
    (本記事はインターネット放送局『ビデオニュース・ドットコム』の番組紹介です。詳しくは当該番組をご覧ください。)
    #情報公開 #三木由希子 #神保哲生 #情報公開クリアリングハウス

Комментарии • 22

  • @sir.z7913
    @sir.z7913 Месяц назад +4

    全く令和日本に必要なメディアや国家機関の闇を討論してくれていますね!! 日経以企業は、「社外取締役」もないし。本当に素晴らしいビデオです!! 小池都知事、検察、警察、裁判所 その他おかしな内部開示徹底的にやるべきです!!!!!

  • @user-ul9xw5md1j
    @user-ul9xw5md1j Месяц назад +10

    真っ当な良い内容の話。

    • @user-so4hz4og2v
      @user-so4hz4og2v Месяц назад +5

      公益通報の正確な情報を広く流通し国民が利益を獲得した例がどれ程あるのか。
      特に公務員や警察組織の公益通報者はしっかりと守られるべきです。
      旧体制の古いしきたりに問題があるのは自明ですね。

  • @gon2172
    @gon2172 Месяц назад +5

    刑務所といった刑事施設は閉鎖性が極めて強い行政機関なので、受刑者の人権を守るためにも公益通報者保護制度の改革が求められます。

  • @cheju10
    @cheju10 Месяц назад +3

    公益通報者は絶対みたほうがよい。公益通報者保護法、20年のリアルを勉強できた。

  • @nabuuma3308
    @nabuuma3308 Месяц назад +3

    人権教育がされていないのが根本問題としてある。教育されないと、自分に人権があることさえわからないし、通報者保護もそうだし、保育士教員の過重労働も、いじめ、パワハラ、子ども、女性、障害者、若者、低所得者などなど、様々な問題があるのに人権問題として意識されないまま放置される。

    • @masai8301
      @masai8301 Месяц назад +1

      ■【質問①】→包括的基本権である日本国憲法_第12・13条には、共に『自由』が掲げられており、英語訳では、 第12条が“Freedom”、第13条が“Liberty”について言及されています。
      そこで質問ですが、何故、同じ自由なのに、英語訳では別々に表現されるのでしょうか?
      逆に、何故、日本語版では、敢えて『自由』としか表現しないのでしょうか?
      そもそも『公共の福祉』の定義とは、何でしょうか?
      ■【質問②】→日本国憲法は、国の最高法規という事はご存じでしょう。
      そこで質問ですが、『日本国憲法_第十章』をご存じでしょうか?(※要約だけでも構いません。何なら漢字四文字で答えて貰っても構いません。)
      特に、日本国憲法_第99条をご存じでしょうか?(※要約だけでも構いません。)
      ■【質問④】→また、日本国憲法_第98条をご存じでしょうか?(※要約だけでも構いません。)
      ■【質問⑤】→更に、日本国憲法_第97条をご存じでしょうか?(※要約だけでも構いません。)
      ■【質問⑥】→そこで、日本国憲法は、国の最高法規という事をご存じある事を前提に、『日本国憲法_第10条』をご存じでしょうか?
      あなたは、本当に日本国民でしょうか?それとも、非国民でしょうか?(※要約だけでも構いません。)
      日本国憲法上、『日本国民の要件は、何と書かれているでしょうか?』(※要約だけでも構いません。お答え願えませんでしょうか?)

    • @nabuuma3308
      @nabuuma3308 Месяц назад +1

      @@masai8301 おそらく、あえてそのような教育をしているのでしょう。寝た子を起こさないように、同調圧力に従う教育内容や体制に。個人の意見を言うとわがままだと言われるように。ルールはルール、決まりは決まり!という思考停止の人間を量産すると、管理は簡単になる。記者も、そのような本質をつく報道は弾いて、事前に質問を出す記者しか会見場に入れなくした。簡単に国民から人権を搾取出来てしまうシステムをここ数十年で作ってしまった。

    • @masai8301
      @masai8301 Месяц назад

      @@nabuuma3308
      ご返信、ありがとうございますm(__)m
      管理教育の賜物ですね。名著『動物農場(アニマル・ファーム)』の様ですよね。
      日本の学校は、『奴隷生産工場』ですよね。
      因みに、この質問を公務員300人、25人の弁護士、25人の司法修習生に問いましたが、答えられた人は1人だけでした。
      日本の司法教育が、如何にねじ曲がっているかが分かります。
      勿論、右派左派に訊いても同様の内容でした。
      興味深いのは、裁判所で、特に最高裁で出会った傍聴人は、結構、簡単に答えられる人が多い事ですね。

  • @emperor0001
    @emperor0001 Месяц назад +4

    いや、日本司法制度が?・・・行政側に傾倒忖度する事が全ての原因

    • @masai8301
      @masai8301 Месяц назад +1

      何故、その忖度が可能だと思われますか?
      ※答え→憲法の『統治密度』が低いからでしょうねぇ…。また、根本的には“宗教観(世界観や現実認識)”としてのコモンセンスが共有されていないからでしょうねぇ…。

    • @emperor0001
      @emperor0001 Месяц назад +1

      @@masai8301 其れは、司法其の物が、3権分立と言い、独立している様に、言われているが、「国家賠償法」で、裁判所裁判官の瑕疵を問う時には、法務大臣相手な構造の様に、裁判所と雖も、国の1部の機構に過ぎない。其処で、行政側に傾倒忖度しないと、裁判所の中で裁判官自分が潰れる?だから、行政に傾倒忖度以外に無い。だからの行政裁判勝率10%以下なんだろうね?僕も6件行政を相手にした裁判を遣っているけど?でも、最高裁迄全てを遣る「勝ち負け」の問題で無く、公権力行政の是非の問題だからね?敗訴したら、又、国家賠償で訴訟をして、国相手に訴訟して、是非を問う?そうしないと、行政が正しく行われない。

    • @masai8301
      @masai8301 Месяц назад +1

      @@emperor0001
      ご返信、ありがとうございますm(__)m
      裁判官においても、ヒラメ裁判官が一定数はいるはずで、日本国憲法_第76条3項における『良心に従い独立して職権を行い』という条文が有名無実化しているでしょうねぇ…。
      そもそも、日本国憲法下では、司法が独立していなければならないにも拘わらず、戦前からの司法省を前提とした慣習で半官交流は未だに続いていて、必要以上に利害関係が一致している様な構造や習慣も問題でしょうね。
      だから、特に警察官犯罪における『附審判請求や準起訴手続き』の件数は少なく、先ず裁判すら開かれないし、例え裁判が開かれたとしてもなかなか有罪にはならない。明らかに、一般人への刑事裁判と警察官の犯罪行為に対する刑事裁判とのダブルスタンダードの乖離があり過ぎますね。

  • @TS-se8gq
    @TS-se8gq Месяц назад +3

    日本の公務員は納税者の利益など全く考えないんだろなʅ(◞‿◟)ʃ

    • @masai8301
      @masai8301 Месяц назад +2

      多くの公務員は、見て見ぬ振りをするだけで、既にコモンセンスすら持っていない場合が多いかも知れませんねぇ…。

  • @Pikotan901
    @Pikotan901 Месяц назад

    特に警察行政に対してマスコミ大手新聞社は機能しないのはご存じの通り。そこに触れてないのは意図的なのか有料版を見てみたい。

  • @sin10209
    @sin10209 Месяц назад +4

    これいわゆる可視化なんですが、可視化した先にある国民の思考や対応が稚拙なんで公表したところで意味ないんですよ。可視化に意味はない。社会問題を提起したところで暖簾に腕押しなんです。日本人には意味がないんですよ。
    そのすべてがエンターテイメントとして心を満たすためだけに使われて社会の改善には寄与しません。
    情報公開じたいには意味があるんですが公開した先に意味がないんで効果は低い。
    実例は言わずとも今の国会やら行政やらあるいは社会問題の未解決っぷり見ればわかると思います。
    あとは制度的なとこもやばいですよね、公益通報が曖昧ですし保護も稚拙で現役が告発するにはあまりに弱すぎて使えない。じゃあどっかで自分の利益を主張して手打ちにする方が良い。あたりまえですよね。
    通報にインセンティブなんてつけたらチクリあいが横行して機能不全に陥りますよ。実社会ではよくあることです。
    これもまず我々が一体どういうろくでもない人間か認知しないと先に勧めません。

  • @ma-sa-2949
    @ma-sa-2949 Месяц назад

    大事なのは政府の監視から逃れて生き延びることだ 心にもないこと言わないで、それにあなた㊙️