TOHOKU Relax 秋雷 岩井俊二

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  • Опубликовано: 14 ноя 2024
  • 秋雷
    東京帝大文学部露文科の講師上成猛(かみなりたけし)は
    ロシア大使館のロマン・ローゼンから”グローム”というあだ名で呼ばれていた。
    ロシア語で雷のことである。
    秋になり、ロマンは北海道に小旅行を計画し、猛も誘われる。
    機関車に乗って、一行は北を目指す。
    旅の途中、立ち寄ったのは、弘前。
    猛の実家がそこにある。
    上成家のもてなしにロマンも妻も痛く感動する。
    家の庭から見える山。八甲田山。
    翌日一行はその麓まで散策する。
    一月に青森第5連隊が訓練中に未曾有の大寒波に巻き込まれ遭難した話はロマンも知っている。
    行軍計画の立案者である陸軍歩兵大尉は猛の従兄弟であった。
    麓に妻と幼い娘を残し、ロマンと上成は馬立場と呼ばれる場所まで登った。
    そこには花が手向けられていた。
    この遭難事件について二人は多くを語らなかった。
    日露戦争の二年前、秋の麗らかな午(ひる)、二人は遠くで鳴る雷の音を耳にした。

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